映画「イブ・サンローラン」を公開初日に鑑賞。
クリスチャン・ディオールのアシスタントを務め自らもオートクチュールのブランドを立ち上げモードを芸術表現の域に引き上げた天才、イブ・サンローランのドキュメンタリー映画。 個人の自伝的ドキュメンタリー映画とは違い芸術性に優れた映画作品です。 サンローランの長年のパートナーであるピエール・ベルジエ氏のインタビューを軸として彼ら二人がモードと言う芸術を創り上げていった過程が彼らを取り巻く数々の美術品と共に美しくも悲しい映像が流れていきます。 サンローランの代表作品であるモンドリアンの絵画を基として表現したモンドリアン・ドレスに表れている様に彼の美術品コレクションも有名でした。 ピカソ、モンドリアン、ルーベンス、デュシャン、ブランク-シ等々絵画、彫刻、調度品に至るまで数え切れないほどの世界的文化芸術品を集めていました。これらのイブ・サンローランとピエール・べルジエがコレクションした膨大な芸術品はサンローランの没後オークションにかけられました。 クリスティーズのオークション会場で数々のコレクションが天文学的な金額で競り落とされて行く様子が映画のエピローグとなりますが、サンローランの太く厚い苦悩と快楽の人生が無意味な数字となってしまうのは何とも人生の空しさ儚さが表現されていて、我々人間の一生などどれだけ苦悩しても幸福であっても一瞬の出来事でしかなく、その時、その瞬間を懸命に生きることだけがヒトの人生価値で、それは本人以外誰も理解出来ないものだと思うのでありました。 僕としては素晴らしく品位ある映画のひとつで、芸術書か哲学書を読んだ様な気にさせてくれましたが、初日で十名程の観客では寂しい限り・・・・ 街中では老いも若きもファッションに夢中なのですから、ファッションを一流の芸術としてモードというジャンルを築き上げた天才の映画は必見です。 惜しむらくはフランス映画の常であるのか映像粒子が雑なこと、NHKのハイビジョン映像で撮って頂ければ百点満点! 否、何事もパーフェクトは良くないと歴史も芸術も語っているので少し雑なのもご愛敬でしょうか。
by yonosuke55
| 2011-04-25 23:26
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