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柳家小三治独演会

「ウマい!ウマいなぁ~」、「そう、そう、イチジクは今が旬だよ・・・」
噺家がしゃべる事に相槌と感想を述べる僕の後方の観客。
「ホント!楽しくてオモシロかった~ウマいよねぇ~」

夕方6時半から9時過ぎまで三席、僕も含め多くの観客はお腹ペコペコで仕方ないはずなのに噺家の好物の愛知県産イチジクの蘊蓄やお酒と肴を食す所作を聞いても「ウマく」なんて感じないのであります。
早く噺を終えて地下の居酒屋で肴を食べたいのは僕の方だ。

今春から浅草や大須で寄席へ足しげく通っていましたが、今回の小三治さんのような所謂有名ブランド噺家の独演会に行ったのは初めてでした。

他の有名ブランドを体験していないので噺家としての良し悪しは判りませんが、僕が思うに落語や漫才のような大衆演芸は小さな場所で行うのが基本なのではないかとも思います。たとえば映画で譬えるならば小さな寄席はサブカルチャー雑誌にしか掲載されない評論で四つ星だった映画を場末にあるアート系の映画館で観る、小三治さんは大々的にマスコミで宣伝され五つ星の映画をシネコンで観る、って感じかもしれない。
多くの方々は後者の方が安心して楽しむことが出来るであろうが、へそ曲がりな僕はやはりサブカルチャー系好みなのですね。

800名も収容するホールが満席なんてのは普段通っている寄席から考えれば不思議そのもの、色々な観客がいて観客ウォッチングするのも楽しかった。
冒頭に記したオッサンやオバサマたちもしかり、ホール入口に飾られた「小三治」と書かれた提灯や公演終了後にロビーに貼られた今夜の演目(これは専門用語があるのだろうか?)には物凄い人だかり、皆が揃って携帯で写真を撮っているのはマッタク粋な姿でなく教養ある大人として美しくないよ!

しかし!何とも辛かったのは座席の小ささと前後の狭さ。
このウインクあいちのホールは1時間ほどのセミナーには適しているだろうが2時間以上の演芸公演としての利用はエコノミー症候群になってしまいそう。
観客の事情を一切考えていないプロモーターの心意気(がめつさ)がよく判るのでありました。
柳家小三治独演会_b0137846_229116.jpg

機会があれば小さなホールで有名ブランドの噺家を体験し「ウマい!」ではなく「上手だなぁ~」と口にしてみたい。と思った次第であります。
by yonosuke55 | 2012-09-01 22:16 | 観る
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